Article 2026/07/14

職場から始まる肥満症対策——健診の数値が気になる方へ

職場から始まる肥満症対策——健診の数値が気になる方へ

健康診断の結果を見て、「去年より数値が上がっている」と感じたことはありませんか。

体重の増加は、見た目の変化だけでなく、高血圧や2型糖尿病、さらには心筋梗塞・脳卒中といった深刻な疾患リスクと連鎖していることが、医学的に示されています。

そうした「肥満症」への対策を、職場・健康保険組合という身近な場所から推進しようという取り組みが始まっています。

◆◇「肥満」と「肥満症」——似ているようで、じつは別の話

肥満とは、BMI(体格指数)が25以上で、脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態のことを指します。

一方、「肥満症」はその肥満があり、さらに耐糖能障害(2型糖尿病・耐糖能異常など)、脂質異常症、高血圧、冠動脈疾患、脳梗塞といった健康障害を1つ以上合併しているか、内臓脂肪蓄積から合併が予測されるため医学的な減量治療が必要と判断される慢性疾患です。

単なるダイエットの話ではなく、医師による診断のもとで治療の対象となる「病態」である点は、多くの方が見落としがちな重要なポイントです。

肥満は「メタボリックドミノ」とも呼ばれる健康障害の連鎖の発端となり得ることが知られており[2][3]、生活の質(QOL)の低下や合併症リスクの高まりを通じて、医療費の上昇にもつながる可能性が指摘されています[4]。

健康診断でBMIや腹囲の数値が気になっている方にとって、「肥満症かもしれない」という視点を持つことが、早期対処の第一歩になりそうです。

◆◇職場と健保が一緒に動く、新しい予防の仕組み

2023年度の国民医療費が過去最高の48兆915億円に達するなかで、治療中心の医療から疾病の発症・重症化を防ぐ予防医療への転換が求められています。

そうした背景のもと、肥満症対策を最初のテーマに据えた「健康経営実装コアリション~予防医療、肥満症対策から~」が発足しました。

ロッテ健康保険組合、内田洋行健康保険組合、九州電力健康保険組合をはじめとする企業・健康保険組合が参画しており、今後も参画団体を順次拡大する予定です。

このコアリションが目指すのは、対象者の把握・受診勧奨・介入後の効果検証を一貫して行う仕組みの構築です。

参画する健康保険組合と協働し、肥満症に該当する対象者約1万名への受診勧奨を実施するとともに、得られたデータを分析・可視化することで、健康アウトカムや経済的インパクトを継続的に検証していくとしています。

「社員の数値が気になるけれど、どこから手をつければいいかわからない」という企業の担当者の方にも、実効性のあるモデルとして参考になる取り組みではないでしょうか。

◆◇健康診断のあと、「相談できる場所がある」という安心感のために

肥満症の改善は、合併症の予防や改善を通じて健康寿命の延伸やQOLの向上に寄与することが示唆されています[5]。

毎年の健康診断でぼんやり数値を眺めるだけで終わってしまっていた方や、「少し太ったかな」と気になりながらも医療機関へのアクセスを迷っていた方が、職場を通じて適切なサポートを受けられる環境が整っていくことは、働く世代にとって心強い変化です。

肥満症の診断や治療方針については必ず医師へのご相談が必要ですが、まずは自分の数値を「慢性疾患のリスク」という視点で見直してみることが、長く健康でいるためのきっかけになるかもしれません。

まとめ

「体重が増えてきた」を見過ごさず、職場や健保という身近な窓口から専門的なサポートにつなぐ——そんな社会の仕組みづくりが、一歩ずつ進んでいます。

肥満症についてより詳しく知りたい方は、日本イーライリリーの公式サイトで疾患啓発情報をご確認ください。

公式リンク

・公式サイト:[[日本イーライリリー株式会社]](https://www.lilly.com/jp)

注釈

[1] 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」, P.1-2

[2] 伊藤裕. 日本内科学会誌. 2018; 107(9)1913-1920. / 伊藤裕. 日本臨牀. 2003; 61(10)1837-1843.

[3] Kojima T, et al.: Journal of Medical Economics. 2026; 29(1)1387-1404. / 日本肥満学会「肥満症診療ガイドライン2022」, P.2-3

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