
日が沈み、森が夜の表情へ移り変わるわずかな時間にだけ現れる光に惹かれました。神奈川県箱根町の彫刻の森美術館で、光のアーティスト・髙橋匡太による展示「atmos」が、2026年11月28日(土)から2027年1月11日(月・祝)まで開催されます。30年にわたり光の作品を手がけてきた髙橋匡太が、光という素材の原点に立ち返って制作した新シリーズ「atmos」の初披露です。
◆◇色のプレートを抜けた光が、広場にたゆたう

展示の中心となるのは、森の足湯前広場に設置される作品です。直径5mの円形コンクリートの外周に、照明器具とカラープレート「atmos」を取り付けた照明ポールを設置し、プレートを透過する光をコンクリート面に映し出します。多色のプレートを透過した光は柔らかに屈折し、色が混ざり合うような抽象的な光の像を結びます。プレートのゆっくりとした動きにあわせて、光もゆるやかにたゆたうように像を変えていきます。
作品は、太陽光が大気を透過して地上に届く様子をモデルにしています。虹や夕焼けの美しい色彩は、可視光線が大気中の水蒸気などに反射・屈折することで生まれるもので、作品は太陽・大気・大地の環境の中の光のありようにインスパイアされて制作されました。
人工の光で、空と大気が色を生むしくみをなぞるという発想に惹かれました。夕焼けの余韻が残る時間に訪れると、作品に込められた意図がいっそう伝わってきそうです。
◆◇ステンドグラスの彫刻と、光の絵画になるカフェ
広場の作品の正面に位置する、ガブリエル・ロアール《幸せをよぶシンフォニー彫刻》も、展示にあわせて髙橋匡太がライトアップします。彫刻の内部から外側に向けて光を投射することで、作品の外側からステンドグラスの輝きを楽しめます。空に向かって立ち上がる彫刻の光と、地上に広がる「atmos」の光が垂直と水平の対比をつくり、広場全体が一体感のある空間になります。
カフェには、壁面作品「atmos」が展示されます。カラープレートを透過した色彩の光がカフェの壁面全体に映し出され、光の絵画になります。夕暮れどきからゆっくりと現れる光に、カフェで過ごしながら少しずつ包まれていく構成です。
鑑賞可能時間は16:00頃から17:00までで、開館時間は9:00〜17:00(入館は閉館の30分前まで)です。料金は美術館入館料で、大人2,000円、大学・高校生1,600円、中学・小学生800円、未就学児は無料です。休館日はなく、年末年始も開館しています。アクセスは箱根登山鉄道「彫刻の森」駅から徒歩2分です。
昼間とは違う表情の美術館を、カフェの席からゆっくり眺められるのがうれしいところです。閉館までのおよそ1時間に合わせて、少し遅めの時間に訪れる計画を立てたくなります。
◆◇光という素材の原点に、もう一度向き合う

京都を拠点に、建築物へのライティングや多くの人とともに作る参加型アートプロジェクトを手がけてきた髙橋匡太が、あらためて光そのものに向き合った新しいシリーズです。太陽が沈む余韻と彫刻、森を包む空気が響き合う、その瞬間にしか出会えない景色を見に出かけてみてはいかがでしょうか。
まとめ
日没から閉館までのわずかな時間に、森と彫刻と光が響き合う、この冬だけの展示です。会期や入館料の詳細は、彫刻の森美術館のサイトからチェックできます。
公式リンク
・彫刻の森美術館:公式サイト
注釈
[1] Photo: Mito Murakami