産後の体に起きていることを、私たちはどこまで正確に知っているでしょうか。
「産後だから仕方ない」という言葉に、もやもやした経験のある方は少なくないはずです。
産後女性の心身の実態を科学的に可視化しようとする、国内でも例の少ない取り組みが始まろうとしています。

◆◇産後8割が抱える「見えない不調」をデータで照らす
令和4年に実施された妊娠中・産後の母体の身体トラブル実態調査によれば、産後女性の8割以上が何らかの心身のトラブルを抱えながら育児をしているとされています。
2021年の母子保健法改正により産後ケア事業はスタートしたものの、母体の健康回復状況については、全国規模でのエビデンスや社会保障の枠組みが整っていないのが現状です。
一般社団法人日本産後ダイエット協会が運営する「産前産後Healthcare Lab」は、この社会的な空白を埋めるべく、2026年8月29日(土)開催の「ママパパフェス2026」を皮切りに、妊産婦とそのパートナーを対象とした産前産後の健康実態調査を開始します。
調査の対象となるのは、育休中・育児中のご自身のことを「なんとなくつらいのに理由がわからない」と感じている方にも関係する内容かもしれません。
同協会の事前調査では、30〜40代女性の平均握力28kgに対して産後に大幅な筋力低下が確認されており、この低下が産後うつや将来的な股関節変形、坐骨神経痛、側弯症の加速の引き金となる可能性が考えられると指摘されています。
◆◇「貧血×メンタル」「体力×復職不安」を同時に測る、国内初の試み
本調査の最大の特徴は、フィジカルとメンタルを同一対象者に対して同時に多面測定する点にあります。
具体的には、握力測定による筋力低下の実態把握と貧血リスクのスクリーニング、そして産後の自己肯定感・自己効力感、育休復帰への不安、復職前サポートへのニーズ、脳疲労といった意識調査を組み合わせます。
「産後の筋力・栄養・メンタル・復職不安を同一対象者に対して同時に多面測定する実態調査」としては国内初とされており(2026年7月時点・同会調べ)、個別に語られてきた課題を統合的に可視化することで、企業の女性健康施策や政策提言に活用できる基礎データの構築を目指しています。
調査チームには助産師、保健師、管理栄養士、健康運動指導士が参画し、小児科・統合医療のクローバーこどもクリニック、産婦人科・分子栄養学を専門とするアロリエクリニックとの医療連携のもとで進められます。
収集されたデータは『産前産後Healthcare白書』としてまとめられ、日本産業衛生学会や産前産後ケア・子育て支援学会での発表、さらには乳児健診時における「母体健康回復確認項目」の追加といった政策提言への展開も視野に入れています。

◆◇育休中・産後のリアルが、社会を動かすデータになるかもしれない
調査は2026年8月の赤羽(東京都北区)を皮切りに、台東区・川口市・小田原市など複数地域のママフェス・ママイベントでも順次実施され、目標サンプル数は合計900人以上にのぼります。
産後の「なんとなくつらい」を「仕方ない」で終わらせず、科学的なエビデンスとして積み上げることが、将来の産後ケア体制づくりへとつながる可能性があります。
産後の健康回復に関心を持つ方、あるいは医療・企業・自治体として産後支援に携わっている方にとって、注目しておきたいプロジェクトといえそうです。

まとめ
「産後だから仕方ない」を当たり前にしない社会へ向けた、具体的な第一歩として動き出したプロジェクトです。
調査への参加や協賛に関心のある方は、公式サイトから詳細をご確認ください。
公式リンク
・公式サイト:[[日本産後ダイエット協会]](https://j-sango-diet.jp/)
・産前産後Healthcare Lab:[[調査プロジェクト詳細]](https://sanzensangohealthcarelab.com/1000-lp)
注釈
[1] 「産後の筋力・栄養・メンタル・復職不安を同一対象者に対して同時に多面測定する実態調査」としては国内初(2026年7月時点・一般社団法人日本産後ダイエット協会調べ)。
[2] 産後女性の8割以上が何らかの心身のトラブルを抱えながら育児をしているというデータの出典は「令和4年妊娠中・産後の母体の身体トラブル実態調査」。
[3] 30〜40代女性の平均握力28kgに対する産後の大幅な筋力低下は、同協会による事前調査にて確認されたもの。