疲れた日の締めくくりに、ふと「温泉に浸かりたい」と思うことはありませんか。
そのじんわりとした温かさや、肩の力が抜けていく感覚は、気のせいではないかもしれません。
温泉が心身にどんな変化をもたらすのかを、3年間にわたってデータで追い続けた取り組みの知見が、このたびまとめて報告されました。

◆◇「なんとなくいい」を、数字で裏づけるということ
温泉に入ると気持ちいい——その実感は多くの人が持っているはずですが、体の中で何が変わっているのかを客観的に示すのは、じつは簡単ではありません。
湯治ぐらし株式会社は、環境省が推進する「新・湯治」プロジェクトの一環として、別府市とともに3か年の調査を継続してきました。
一般財団法人日本健康開発財団の協力のもと、看護師・温泉利用指導者などの有資格者が、入浴の前後で血圧・血管年齢・自律神経バランス・ストレス度・柔軟性といったバイタルを一件ずつ計測。
リラックス度や睡眠の質、肩こりの自覚症状などについての主観評価も合わせて取得し、泉質や滞在期間ごとに体への変化を可視化してきました。
3年間・6つの調査を通じて累計3,000件を超える実計測データが蓄積されており、その傾向からは興味深いことがいくつか見えてきています。
[1]滞在が長くなるほど主観的な健康状態の改善がみられる一方で、2泊3日という短期滞在でも、その後のライフスタイルに良い影響が及ぶ例があったといいます。
また、泉質ごとに「血圧」「柔軟性」「脈拍」への変化パターンが異なることも確認されており、温泉一つひとつが持つ「個性」をデータで語れる時代が近づいているようです。
◆◇自分に合った温泉を、カウンセリングで見つける
計測と並行して実施されてきたのが「温泉カウンセリング」です。
看護師や温泉利用指導者の資格を持つ「湯治カウンセラー」が、計測データとその方の体質・体調をふまえ、泉質や入浴方法のアドバイスを個別に行うというもので、これまでに延べ数百回のカウンセリングが重ねられてきました。
この計測とカウンセリングを一連のサービスとして体系化したのが「湯治チェックアップ」で、別府を起点に全国の温泉地・宿泊施設への展開が進む予定です。
「温泉×睡眠」の調査では、別府滞在中は自宅での通常入浴時と比べて睡眠時間が長く、起床時の疲労回復感に関する主観評価も高い傾向がみられたとのこと。
[1]旅先で「いつもより深く眠れた」と感じた経験がある方には、その感覚がデータとも重なるかもしれません。
◆◇ウェルネスな旅を考えているすべての方へ
慢性的な疲れや睡眠の浅さを感じている方、あるいは週末の過ごし方を少し変えてみたいと思っている方にとって、温泉滞在を「ただ気持ちいい体験」ではなく「自分の体を整える時間」として捉え直すヒントが、この研究の積み重ねにあるかもしれません。
データが蓄積されるほど、体質・体調に合った温泉を提案する「温泉のパーソナライズ」の精度が高まっていくとされており、温泉マッチングアプリ「おんピタ」などを通じた社会実装も進む予定です。
まとめ
「なんとなく体にいい気がする」を科学的に紐解こうとする、静かでまじめな取り組みとして、温泉との向き合い方をあらためて考えさせてくれます。
詳細は公式サイトや「湯治チェックアップ」のページから確認できます。
公式リンク
・公式サイト:湯治ぐらし株式会社
・温泉効果測定サービス:湯治チェックアップ
・温泉ビッグデータ研究拠点:おんピタラボ
・湯治リトリート滞在施設:七日一巡り
注釈
[1] 各調査は環境省・別府市の委託事業における限定された条件・人数のもとで実施されたものであり、特定の疾病の治療・予防効果を示すものではありません。