パーソナルトレーニング中の事故が社会的な問題として注目を集めるなか、2026年6月、業界団体が初めて運動指導者の「安全基準」と「必要な知識・技能」を明文化しました。
資格の有無だけでは測れないトレーナーの実力を、どう見極めればいいのか——その問いに向き合う動きが、フィットネス業界全体で始まっています。
ジムやフィットネスクラブを利用する私たちにとっても、決して他人事ではない話題です。

◆◇「資格があればOK」ではなかった、パーソナルトレーニングの現実
パーソナルトレーナーは、国家資格がなくても活動できる職業です。
民間資格の中には実技試験を課していないものも存在するという実態が、2026年4月の日本経済新聞でも報じられました。
そのため採用担当者が「資格保有者だから安心」と判断しても、実際の知識や技術の水準をきちんと確認できていないケースが生まれやすい構造がありました。
2026年5月27日には消費者安全調査委員会がパーソナルトレーニングにおける事故に関する報告書を公表し、業界団体に対して事故防止・被害軽減の仕組みの創設を求める提言が出されました。
これを受けて運動指導者団体連絡協議会が同年6月25日に策定したのが、「運動指導における安全基準」と「運動指導に従事する運動指導者に必要な知識と技能」です。
解剖学・運動生理学・栄養学・救急対応など10領域の知識・技能基準と、事前準備・毎回の指導確認事項など15項目の安全基準が、業界横断で初めて明文化された形になります。
◆◇新基準に照らした審査と、既存スタッフへの研修支援という二段構え
パーソナルトレーナーの養成スクールと人材紹介を手がける2ndPASSは、今回の基準策定を受けて人材紹介における候補者の審査プロセスを刷新しました。
自社カリキュラムと評価プロセスを新基準に照らして点検した結果、大部分の項目はすでに対応済みであることを確認したうえで、審査基準をあらためて新基準に整合させています。
今後はフィットネスクラブや24時間ジム、パーソナルジムなどへの人材紹介にあたり、上記の知識・技能10領域と安全基準15項目を審査プロセスに組み込み、採用企業のリスク軽減を支援していく方針です。
さらに注目したいのが、新規採用だけでなく既存スタッフへの対応も視野に入れた法人向け研修プログラムの提供開始です。
新基準の策定によってフィットネスクラブやジムチェーンでは、すでに在籍しているトレーナーの知識・技能水準を底上げする必要も生じます。
パーソナルトレーナー養成スクールで培ったカリキュラムを土台に、採用時の審査と既存スタッフの研修という両面から、企業がトータルで対応できる体制を整えた点が特徴的です。
◆◇ジムを「安心して使える場所」にするために、今知っておきたいこと
ダイエットや健康づくりのためにパーソナルトレーニングを検討している方にとって、担当トレーナーの知識・安全管理の水準は、選ぶジムを決める大切な判断材料になり得ます。
業界全体でトレーナーの質と安全基準が可視化されていく流れは、利用者側にとっても歓迎すべき変化だと感じます。
通い始める前や契約時に、トレーナーの知識・技能評価やジムの安全管理体制について確認してみることが、自分を守る第一歩になるかもしれません。
まとめ
資格の有無だけでは見えにくかったトレーナーの実力を、明確な基準のもとで評価・育成しようとするこの取り組みは、フィットネス業界の信頼性を高める動きとして今後も注目したいところです。
詳細は2ndPASS公式サイトをご覧ください。
公式リンク
・公式サイト:2ndPASS株式会社
注釈
[1] 運動指導者団体連絡協議会が2026年6月25日に策定した「運動指導における安全基準」および「運動指導に従事する運動指導者に必要な知識と技能」に基づく。
経済産業省がフィットネス関連団体を通じて関係事業者への周知を進めている。
[2] 消費者安全調査委員会「消費者安全法第23条第1項の規定に基づく消費者事故等調査報告書」(2026年5月27日公表)。
経済産業大臣に対し、業界団体に事故防止・被害軽減の仕組みの創設と運用を促すことなどを求めている。