眼でシャッターを切る——そんな不思議な体験が、東京の美術館で待っています。
現代美術作家・杉本博司氏の大規模展覧会「杉本博司 絶滅写真」が、2026年6月16日から東京国立近代美術館で開幕します。
その展示作品のひとつ、《CAMERA MAN》の制作にアイウエアブランドのJINSと光学機器メーカーのSigmaが携わっています。

◆◇「人間写真機」というアイデアに、思わず立ち止まってしまう
《CAMERA MAN》は、「カメラは人間の眼の構造を映した装置である」という杉本博司氏の構想から生まれた作品です。
レンズを水晶体に、絞りを瞳に、フィルムを網膜に——そう捉えたとき、「ではシャッターは?」という問いが浮かびます。
人間の目にはシャッターがない。
だからこそ杉本氏は、自らの手でシャッターを切る「人間写真機」を考案しました。
シャッター速度は1秒。
その前に3分間の闇の中で過ごし、そのあとの1秒間に外景が網膜へと露光されます。
杉本氏はこの3分を、「人の一生を1秒に例えると、人類が文明化へ向かった約1万5千年分に相当する」と語ります。
時間のスケールをぎゅっと凝縮したような、静かで大きなコンセプトに、アート好きの方はきっと心を動かされるはずです。
◆◇アイウエアと光学技術が出会ったものづくりの現場
この「人間写真機」を実際の作品として成立させるために、JINSとSigmaが力を合わせました。
JINSはアイウエアブランドとして培ってきたデザイン力と技術を、Sigmaは光学製品への深い知見と「Made in Aizu, Japan」の高精度な加工技術を持ち寄り、メガネ型カメラというかたちに落とし込んでいます。
眼鏡をかけるようにして被写体と向き合うという体験は、写真や美術に関心がある方はもちろん、「もの」のつくり方に興味を持つ方にとっても見応えがある作品になりそうです。
◆◇銀塩写真の世界を、美術館でゆっくり味わいたい秋
展覧会「杉本博司 絶滅写真」では、銀塩写真の初期から現在に至る約60点が並びます。
デジタル全盛の今だからこそ、「絶滅が危惧される」と表現される銀塩写真の技法と向き合う時間は、日常の慌ただしさから少し離れたい日の美術館訪問にぴったりかもしれません。
会期は2026年9月13日まで、会場は東京国立近代美術館1F企画展ギャラリー。
金曜・土曜は午後8時まで開館しているので、仕事帰りにふらりと立ち寄ることもできます。
まとめ
写真・アート・ものづくりのそれぞれへの関心が交差するような、静かに深みのある展覧会です。
詳細や観覧情報は展覧会公式サイトでご確認ください。
公式リンク
・展覧会公式サイト:[杉本博司 [絶滅写真]](https://art.nikkei.com/sugimoto/)
注釈
[1] 《CAMERA MAN》はJINSとSigmaが共同で制作協力した展示作品です。
販売品ではありません。