毎日使っている銀行口座やクレジットカード——でも、預けたお金や手数料が、地球の未来にどう影響しているか、考えたことはありますか。
そんな問いに、具体的な数字で答えてくれる調査報告書が、今年も届きました。

◆◇「自分の銀行」が気候変動に関わっているかもしれない、というリアル
環境NGOのレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)を含む8団体が共同執筆した年次報告書『化石燃料ファイナンス報告書2026』によると、2025年に世界の主要銀行65行が化石燃料産業に提供した資金の総額は9,320億ドルにのぼり、前年比9%増だったといいます[1]。
パリ協定が発効した2016年からの10年間に換算すると、石油・ガス・石炭企業へ流れた資金は累計8.6兆ドルという、想像を絶するスケールの数字です。
「自分には関係のない話」と感じるかもしれませんが、日本のメガバンク3行——MUFG・みずほ・SMBCは、それぞれ世界ランキング3位・4位・9位と上位を占め、3行の合計だけで全65行の総額の13.7%以上を占めていることが報告書で示されています。
サステナビリティを意識したライフスタイルを心がけているなら、「どの金融機関を選ぶか」も、日々の選択のひとつとして頭の片隅に置いてみる価値がありそうです。
◆◇「気候変動は遠い話」ではなく、お金の流れと直結している
報告書がとくに注目しているのは、化石燃料事業を積極的に拡大している企業への資金提供額が2025年に前年比27%増の5,080億ドルと、過去最高を記録した点です[2]。
自主的な気候対策の枠組みとして注目されていた「ネット・ゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」が崩壊したあと、北米の調査対象銀行15行のうち12行は化石燃料に関する実質的な方針を持っていない状況だといいます。
報告書に携わったRANの麻生里衣氏は、「化石燃料への資金提供を急速に増やすアメリカに追従するかのように資金提供を増やすメガバンクの傾向は、リスク管理における重大な欠陥を示している」とコメントしており、個人の消費行動と金融機関の選択が気候変動に無縁ではないことを改めて示しています。
環境問題やサステナブルな選択に関心が高い方にとって、報告書の日本語要約版や日本の銀行分析ページは、具体的な数字をもとに「お金と環境の関係」を学べる一次情報として参考になります。



まとめ
気候変動を「社会課題」としてではなく「自分のお金の問題」として捉え直すきっかけになる報告書です。
詳しいデータや日本語要約は、公式サイトや日本語要約版PDFからご確認いただけます。
公式リンク
・報告書(英語):[Banking on Climate Chaos [2026]](https://www.bankingonclimatechaos.org)
・日本語要約版PDF:[化石燃料ファイナンス報告書2026 [日本語要約]](https://japan.ran.org/wp-content/uploads/2026/06/BOCC_2026_Executive_Summary_vJPN.pdf)
・日本の銀行分析PDF:[[日本の銀行分析2026]](https://japan.ran.org/wp-content/uploads/2026/06/BOCC_Japan_Analysis_2026_vJPN.pdf)
注釈
[1] 調査対象は世界の主要民間銀行65行および化石燃料企業約2,900社。
対象期間は2021〜2025年(年次集計)およびパリ協定発効後の2016〜2025年の累計分析を含む。
[2] 「化石燃料拡大企業」とは、化石燃料事業の積極的な拡大を行っている企業を指す。
IEAのネット・ゼロ・ロードマップ(2021年5月)では、今後の化石燃料拡大事業は1.5度目標と整合しないとされている。