アウトドアや海辺のリゾートで体を洗うとき、流れていく泡のことを考えたことはありますか。
サステナビリティへの意識が日常に浸透してきた今、スキンケアと環境への配慮を両立したいという声は、じわじわと広がりを見せています。
そんな気運の中、化粧品OEM/ODMメーカーのサティス製薬と群馬大学が共同で、海洋環境での生分解性に特化した皮膚洗浄剤の処方開発に成功したというニュースが届きました。

◆◇「海で流しても大丈夫?」という問いから始まった研究
キャンプ場の屋外シャワー、海水浴後のシャワールーム——そういった場所では、洗い流した泡がそのまま自然界へ排出されることも少なくありません。
既存の生分解性の評価は、微生物が豊富な下水処理場を前提とした基準が主流でした。
しかし、海洋は微生物の数が極めて少なく、陸上では分解される成分でも海では分解されにくいケースがあることを、群馬大学の粕谷健一教授らとの共同研究で確認しています。
この研究では「実際の海でどうなるか」を検証するため、茨城県ひたちなか市の阿字ヶ浦海水浴場で採取した本物の海水を用いた試験を実施しました。
国際基準であるOECDテストガイドライン306(クローズドボトル法)に準拠し、28日間でBOD生分解度60%以上という水準を達成する成分の組み合わせを見出したという点が、この研究のひとつの大きな到達点です[1]。
◆◇「分解されやすい」と「腐らない」という矛盾を解いた処方
研究開発において最大の壁となったのが、生分解性と防腐性という、本来相反する性質を一つの処方で実現することでした。
微生物に分解されやすい成分は、当然ながら製品そのものも傷みやすくなるリスクがあります。
今回の研究では、防腐剤を使用せず、カプリル酸グリセリルやカプリリルグリコールといった特定の保湿成分と洗浄成分を最適な比率で組み合わせることで、製品としての安定性を保ちながら海洋流出時には速やかに分解される技術を確立しました。
この処方技術は現在特許出願中で、将来的には洗顔料やボディソープなどのリンスオフ製品への応用を目指しているとのことです。

◆◇自然の中で心地よく使える日常を、選べる時代へ
海辺の旅先や、山のキャンプ場でのボディケアを「これでよかったのかな」と感じたことがある方にとって、この研究の成果はひとつの希望になるかもしれません。
科学的な裏付けのある処方が製品として広がっていけば、自分の選択が自然の循環に寄り添えるという実感を、日常のスキンケアの中で得られる日が近づいてきそうです。

まとめ
サステナブルな視点でスキンケアを選びたいと考え始めている方にとって、この研究の動向はこれからも目が離せない一歩です。
詳細や今後の製品化については、サティス製薬の公式サイトからご確認ください。
公式リンク
・公式サイト:株式会社サティス製薬
・群馬大学:国立大学法人群馬大学
注釈
[1] BOD生分解度60%以上とは、残りの約40%が微生物の細胞等に変換されるため、元の化学物質がほぼ完全に自然界へ還ったことを意味する高水準の指標です。
[2] OECDテストガイドライン306は、海水中の生分解性を評価するための国際的な試験法です。
[3] 本処方は現在特許出願中であり、製品化の時期や仕様は今後変更される場合があります。