雨季には半年以上も日差しが望めず、洗った衣類がなかなか乾かない——そんな日常が続く西アフリカのリベリアで、女性たちが長年担ってきた手洗い洗濯の重労働を変えようとする動きが始まっています。
日本発のセルフサービスランドリー『SELFIE』が、2026年7月25日、西アフリカ初となる店舗をリベリアの首都モンロビアにグランドオープンします。
その背景には、日本留学中に「このビジネスを母国に持ち帰りたい」と感じた一人のリベリア人青年の行動と、長年にわたる日本とアフリカの人材交流が重なっていました。

◆◇「洗濯1週間」が当たり前の暮らしを変える一歩
リベリアでは、推定90〜95%の人々が今も洗濯をすべて手作業で行っているといいます。
年間約6か月にわたる雨季には衣類が十分に乾かず、湿気による臭いで再洗濯を余儀なくされることも多く、一連の洗濯作業が1週間以上にわたることもあるとのことです。
その負担の多くは女性たちに集中していて、「清潔な服を着ることは、健康と尊厳を守ることに繋がる」という現地でのメッセージが、この事業の出発点となっています。
モンロビア中心部の主要道路沿いに建つホテルの一本裏、ホテルやスーパーマーケット、大きな病院が集まる好立地の商業ビル『ALL STAR MALL』1階に構えるこの店舗は、洗濯を「重労働」から「日常の選択肢」へと変える拠点として位置づけられています。
日本では洗濯機が家庭に普及し、洗濯が当たり前の行為になっているからこそ、その「当たり前」が持つ価値を、このプロジェクトは改めて教えてくれます。
◆◇日本留学で芽吹いた「母国へ持ち帰るビジネス」
今回の店舗を運営するのは、現地パートナーのSelfie Laundromat Liberia Ltd(モンロビア)です。
代表のAlfred Nyan Suah氏は、日本政府のアフリカ人材育成プログラム「ABEイニシアティブ」で来日し、国際大学(新潟県南魚沼市)での修士課程と日本企業でのインターンシップを経て、帰国後にこのビジネスを立ち上げました。
ABEイニシアティブは、安倍元首相が2013年のアフリカ開発会議で提唱した国際的な産業人材育成プログラムで、現地で政府や民間企業での勤務経験を持つ若者を対象に、日本の大学院での修士号取得と日本企業でのインターンシップを提供するものです。
10年以上で2,000人超の若者を受け入れてきた実績があり、このリベリアの事例もその流れの中で生まれました。
運営母体となるLife Breeze社(長野県塩尻市)は、アフリカ各国でABEイニシアティブの卒業生を中心にフランチャイズ展開を進めていて、モザンビークに次いでケニア(2025年9月・12月に出店済み)、そして今回のリベリアがアフリカ3か国目となります。
年内にはガボン(2026年8月出店予定)、ガーナへの展開も計画されていて、将来的にはアフリカ54か国への順次出店を目指しています。

◆◇「日本の当たり前」が持つ力を、世界のどこかで受け取る人がいる
日本にいると、コインランドリーはちょっと大きな洗い物があるとき、あるいは忙しい週末に使う「便利なサービス」のひとつです。
でも、地球の反対側では、その同じサービスが女性たちの重労働を減らし、衛生環境を守り、一日の時間を取り戻す手段になり得るということを、このプロジェクトは静かに示しています。
「母国の人たちに喜んでもらえるビジネスを持ち帰りたい」という一人の青年の思いが、国を動かすプロジェクトへと育った経緯は、スケールを超えて心に残ります。


まとめ
日本での留学体験と、地元の暮らしへの深い思いが交差して生まれたこのプロジェクトは、「洗濯」という日常の行為が持つ意味を、改めて考えさせてくれます。
アフリカでのビジネス展開やSELFIEランドリーの取り組みについて詳しく知りたい方は、公式サイトで最新情報をご確認ください。
公式リンク
・公式サイト:アセンティア・ホールディングス
・SELFIEランドリー関連情報:ニュース・プレスリリース一覧
注釈
[1] ABEイニシアティブ:安倍元首相が2013年のアフリカ開発会議TICAD5で提唱。
アフリカ各国の若者に日本の大学院での修士号取得と日本企業インターンシップを提供する国際的産業人材育成プログラム。
10年以上で累計2,000人超を受け入れています。