Article 2026/06/19

「補う」から「引き寄せる」へ。花王の新保湿技術が変えるかもしれない乾燥ケアの常識

「補う」から「引き寄せる」へ。花王の新保湿技術が変えるかもしれない乾燥ケアの常識

化粧水をたっぷり重ねても、気づけば夕方には肌が突っ張っている——そんな経験、一度はあるのではないでしょうか。

「補っても、すぐ逃げてしまう」という保湿の限界に、新しい角度からアプローチする技術が生まれました。

花王のスキンビューティ第1研究所が構築した「ウォーターキャプチャリングスキン(Water Capturing Skin)」技術は、肌が空気中の水分を自ら引き寄せるという、これまでとは根本的に異なる発想の保湿メカニズムです。

◆◇「補う保湿」ではなく、「引き寄せる保湿」へ

スキンケアにおける保湿は長年、水分を肌に補給し、逃がさないことを目的として研究されてきました。

ところが、化粧水を丁寧に重ねても時間とともにうるおいが薄れていくのは、多くの方が実感する課題です。

花王が今回着目したのは、肌の最外層「角層」が本来持つ天然保湿因子(NMF)のはたらきです。

NMFは単一の物質ではなく、複数の物質の組み合わせで機能していることに改めて注目し、分子構造や物性の観点から保水効果を最大化する組成を探索しました。

研究の過程で、NMF由来の特定の物質を特定の比率で組み合わせたとき、粉体が液化するほど強い吸湿現象が生じる組成が発見されたといいます。

この「周囲の水分を引き寄せる現象」を応用することで、従来とは異なる新しい保湿アプローチが生まれました。

◆◇塗布後、時間が経つほど水分量が増えていく可能性

新技術の効果は、花王独自の顕微ATR-IR法*1を用いた実験で確認されています。

20〜40代の日本人男女3名の前腕内側に、水分を引き寄せる組成を含む水溶液と一般的な保湿成分を含む比較製剤をそれぞれ塗布し、塗布直後・3時間後・8時間後に角層の水分量を測定しました。

比較製剤では時間とともに角層水分量が低下していく一方、ウォーターキャプチャリングスキン技術を用いた水溶液では、塗布後から水分量が増加していくことが確認されました。

さらに、体内から皮膚を通じて蒸散しようとする水分(経皮水分蒸散量・TEWL)についても、バリア機能を高める成分が含まれていないにもかかわらず、技術あり水溶液では蒸散を抑制していることが別の試験で示されています。

「空気中の水分を引き寄せながら、体内の水分も逃がさない」という二重のはたらきをもつ可能性があると、研究チームは考察しています。

スキンケア後のうるおいが時間とともに育っていくような感覚は、これまでの保湿とはひと味違うアプローチかもしれません。

◆◇朝のスキンケアが、夕方まで続くうるおいになる日へ

乾燥が気になる季節だけでなく、1日中外出が続く日や、冷房の効いたオフィスで長時間過ごす日にも、「塗ったうるおいが持続しない」と感じる場面は少なくありません。

ウォーターキャプチャリングスキン技術は現在、この技術を活かしたスキンケア製剤の開発が期待されている段階にあります。

「補う」から「引き寄せる・逃がさない」へと変わる保湿の可能性を、乾燥に長年悩んできた方はぜひ知っておいてほしいと感じます。

まとめ

保湿ケアの根本的な発想を見直す技術として、今後の製品展開が注目されます。

研究の詳細や続報は花王の公式サイトでも確認できます。

公式リンク

・公式サイト:花王株式会社

注釈

[1] 前腕に製剤を塗布後、テープで角層を採取し、タンパク質当たりの水・ポリオール類のOH基の信号強度比(含水比)を可視化する花王独自の分析法。

関連する記事